有理数乗について指数法則が成り立ちます。
この記事では
有理数乗の定義から始めて、
有理数乗の指数法則を証明します。
有理数乗の指数法則
実数a、b>0と有理数r、sは次の3つの等式を満たします。
有理数乗の指数法則
- \( a^r a^s = a^{r+s} \)
- \( (a^r)^s = a^{rs} \)
- \( (ab)^r = a^r b^r \)
定義の確認
1/n乗
自然数nについて
1/n乗の定義
\( a^{1/n} := x \)
\( ( x^n = a, \quad x > 0) \)
である。
\( \sqrt[n]{a} \quad (= a^{1/n} ) \)
とも書かれます。
1/n乗を用いて有理数乗は定義されます。
有理数乗
自然数m、nについて
正の有理数乗の定義
\( a^{m/n} := (a^m)^{1/n} \quad (=\sqrt[n]{a^m}) \)
また
負の有理数乗の定義
$$ a^{-m/n} := \frac{1}{a^{m/n}} \quad (=\sqrt[n]{a^{-m}}) \hspace{20cm} $$
である。
まとめるとpを整数として
\( a^{p/n} := \sqrt[n]{a^p} \)
です。
証明
m、nは自然数。p、qを整数とする。
有理数r、sは
$$ r=\frac{p}{m}, \quad s=\frac{q}{n} \hspace{20cm} $$
の様に書かれる。
定義より有理数乗は必ず正の値を持つので、
両辺の適当な自然数乗が等しい事を示せば十分。
整数乗の指数法則は既知とします。
\(a^{p/m} a^{q/n} = a^{(p/m) +(q/n)} \)
左辺をmn乗した物
\( (a^{p/m} a^{q/n})^{mn}\)
は(整数乗の)三番目の指数法則より
\( = (a^{p/m})^{mn} (a^{q/n})^{mn} \)
\( = (a^{p/m})^{mn} (a^{q/n})^{nm} \)
二番目の指数法則より
\( = \{(a^{p/m})^m\}^n \{(a^{q/n})^n \}^m \)
有理数乗の定義より
\( = (a^p)^n (a^q)^m \)
一方、右辺のmn乗
\( \{ a^{(p/m) +(q/n)} \}^{mn} = \{ a^{ (pn+qm)/(mn)} \}^{mn} \)
は有理数乗の定義より
\( = a^{ pn +qm} \)
一番目の指数法則より
\( = a^{ pn} a^{qm} \)
二番目の指数法則より
\( = (a^p)^n (a^q)^m \)
左辺と右辺は共に(ap)n(aq)mの1/mn乗で等しい。\(\square\)
\( (a^{p/m})^{q/n} = a^{(p/m)(q/n)} \)
左辺のmn乗
\( \{ (a^{p/m})^{q/n} \}^{mn} = \{ (a^{p/m})^{q/n} \}^{nm} \)
は二番目の指数法則より
\(= \left[\{ (a^{p/m})^{q/n} \}^n \right]^m \)
有理数乗の定義より
\(= \{ (a^{p/m})^q \}^m \)
二番目の指数法則より
\(= (a^{p/m})^{qm} \)
\(= (a^{p/m})^{mq} \)
二番目の指数法則より
\(= \{ (a^{p/m})^m\}^q \)
有理数乗の定義より
\(= (a^p)^q \)
二番目の指数法則より
\(= a^{pq} \)
一方、右辺のmn乗
\( \{a^{(p/m)(q/n)} \}^{mn} = (a^{pq/mn} )^{mn} \)
は有理数乗の定義より
\( =a^{pq} \)
左辺と右辺は共にapqの1/mn乗で等しい。\(\square\)
\( (ab)^{p/m} = a^{p/m} b^{p/m} \)
左辺のm乗
\(\{ (ab)^{p/m} \}^m \)
は有理数乗の定義より
\( =(ab)^p \)
一方、右辺のm乗
\( (a^{p/m} b^{p/m})^m \)
は三番目の指数法則より
\(= (a^{p/m})^m (b^{p/m})^m \)
有理数乗の定義より
\( =a^p b^p \)
三番目の指数法則より
\( =(ab)^p \)
左辺と右辺は共に(ab)pの1/m乗で等しい。\(\square\)
まとめ
両辺を自然数乗する
証明方法に気付けるかが大事でした。