ゆえに、明らかに、
など証明独自の用語の意味を
数学科卒業生の私がまとめました。
適宜例文を添えて
わかりやすさを意識してます、
証明の勉強にご利用ください。
↓目次から読みたい所にジャンプできます。
基本用語
証明
正しさを示すこと。
定義
数学的対象の説明文。
二等辺三角形の定義は
「三辺の内の二辺が等しい三角形」である。
定理
仮定のもと結論が証明されているもの。
仮定
問題の設定。
結論
証明したい事。
直角三角形である事を仮定すれば
結論a2+b2=c2が証明される、これを三平方の定理と呼ぶ。
公理
定理の内、証明抜きで正しいと認められているもの。
互いに平行な2直線はどこまで伸ばしても交わらない。
(平行線の公理)
動詞
~を示す
証明すべき事を指す動詞。
これから余弦定理を示す。
~を満たす
条件が正しく成立していること。
1は自然数であることを満たす。
~とする(~とおく)
臨時で仮定をおく際の動詞。
線分ABの中点を点Cとする。
接続詞
~だから(~なので)
根拠を表す基本の接続詞。
~より
仮定や定理を援用する際の接続詞。
円周角の定理より∠Aと∠Bは等しい。
ゆえに~
=以上の理由より。
記号では
\( \therefore \)
と書きます。
逆に~(一方)
ここまでと反対の話をする際の接続詞。
ゆえに集合Aは集合Bに含まれる。
逆に集合Bが集合Aに含まれることを示そう。
ところで
どんな話にも繋げられる接続詞。
ゆえに集合Aは集合Bに含まれる。
ところで集合Cを考えてみよう。
修飾語
明らかに~(明らか、自明)
説明不要なくらい簡単なこと。
明らかに1+1=2である。
一般に~
広い範囲で成り立つこと。
一般に三角形であれば内角の和は180°である。
同様に~(また~)
先と似たような話を意味する修飾語。
1は自然数である。同様に2も自然数である。
特に~
とりわけ大事なものを指す修飾語。
特に0を掛けると答えはすべて0になる。
ただし~
条件を追加する修飾語。
2次関数は一般にax2+bx+cと書かれる、ただしa≠0とする。
論理
任意の~
=すべての。
任意の偶数は自然数である。
任意に~
=好きなように。(自由に)
任意に選んだ自然数nが2で割り切れたなら偶数である。
ある~
存在を認めること。
ある直線ℓは線分ABを垂直に二等分する。
AかつB
AとBの両方が満たされていること。
AまたはB
AかBのどちらか一方か
AとBの両方が満たされている事。
一意
1通りだけなこと。
任意の自然数は一意に素因数分解される。
(素因数分解の一意性)
矛盾
同時には起こり得ない事が起きてしまう事。
命題
正しいか正しくないかが明確に決まるもの。
真である(真)
命題が正しいこと。
1+1=2は真である。
偽である(偽)
命題が誤っていること。
1+1=3は偽である。
反証
偽であることを示す証明。
AならばB(A⇒B)
Aが満たされている時、Bも満たされること。
aが自然数ならばa2も自然数である。
aが自然数⇒a2は自然数
十分である
A⇒BにおいてAが満たされている事。
a2が自然数であることを証明するには、
aが自然数であれば十分である。
必要である
A⇒BにおいてBが満たされなければ、ならないこと。
aが自然数であるためには
a2が自然数なことが必要である。
(Aを仮定すれば自動的にBが満たされるから)
AとBは同値である(同値)
A⇒BかつB⇒Aであること。
記号ではA⇔Bと書きます。
AとBが同値であれば
Aが真であることを証明したい時
代わりにBが真であることを証明しても良く
またBが真であることを証明したい時
代わりにAが真であることを証明しても良くなります。
(証明の対象を置き換えられます)
対偶
命題A⇒Bに対する
命題(Bでない)⇒(Aでない)のこと。
「偶数ならば2で割り切れる」の対偶は
「2で割り切れないなら偶数でない」
対偶の真偽は一致します。
証明の種類
(数学的)帰納法で示す
(数学的)帰納法で証明する際の始めの言葉。
帰納法の仮定より~なので
帰納法の仮定を用いる際の言葉。
次の場合に分けて示す(場合分け)
場合分けで証明する際の始めの言葉。
~の時(~の場合)
各場合について述べる際の言葉。
背理法で示す
背理法で証明する際の始めの言葉。
もし(仮に)~であれば(とすれば)
背理法において結論の否定を仮定する際の言葉。
よって矛盾
背理法の終わりの言葉。
反例を挙げて示す
反例を挙げて証明する際の始めの言葉。
反例
A⇒Bの反証においてAであるがBでない例。
A⇒Bが偽であること証明する際に用います。
(Aを満たしているがBを満たさないのでA⇒Bを否定できる)
対偶を示す(対偶法)
対偶法で証明する際の始めの言葉。
証明の結び
従い(従って)、以上より、よって、すなわち
~を得る、~が成り立つ、~が示された(証明された)
1と2の組合せで結びの言葉を作ります。
- よって定理が示された。
- 以上より定理を得る。
- 従い定理が成り立つ。
などです。
題意は示された
=結論が示された。
あまり使われなくなった用語です。
□
証明の終わりを表す記号。
結びの言葉の右隅に書きます。
よって定理が示された。\( \quad \quad \quad \square \)
■
黒い四角形のこともあります。
よって定理が示された。\( \quad \quad \quad \blacksquare \)
Q.E.D.(QED)
=よって示された。
結びの言葉でありかつ四角形の代わりにもなります。
以上よりa2+b2=c2である。\( \mathrm{Q.E.D.} \)