高校数学の単語帳2巻

【数学A】円の性質(円周角、内接する四角形)

円周角

扇形OABとOCDは中心角が等しい時、
回転させると重なり合う。

また弧ABとCDの長さが等しくても
同様に重なるので、

円の弧と中心角の関係

一つの円、または半径の等しい円において

  • 等しい中心角に対する弧の長さは等しい
  • 長さの等しい弧に対する中心角は等しい

さらに

長さの等しい弧に対する弦の長さは等しい。

円の中心と弦の関係

円Oの直径でない弦をABとする。

中心Oから弦ABに降ろした垂線はABを二等分する。

逆に弦ABの垂直二等分線は円の中心Oを通る。

証明

中心Oから弦ABに垂線OMを降ろす。

OAとOBは共に円Oの半径なので、
OA=OB

2組の辺の等しい直角三角形なので

△OMA≡△OMB

となり、AM=BM

OMは弦ABを二等分する。

逆に弦ABの垂直二等分線は
OMと一致するので中心Oを通る。\(\square\)

円周角の定理

一つの弧に対する円周角は一定であり
角度は、その弧に対する中心角の半分である。

異なる3点A、B、Pについて次は同値

  • ∠APB=90°
  • 点PはABを直径とする円周上にある

証明

△ABPにおいて∠APB=90°とする。

∠PAB=θとして、

点Pから辺ABに∠APQ=θ
となる様に補助線PQを引く。

△APQは二等辺三角形なのでQA=QP

また、

∠QPB=90-θ
∠QBP=180-90-θ=90-θ

より△QPBも二等辺三角形。

QP=QBであり、まとめると

QA=QP=QB

点Pは点Qを中心とする直径ABの円周上にある。

逆に点PがABを直径とする円周上にあるなら
円周角の定理より∠APB=90° \(\square\)

円の弧と中心角の関係、と円周角の定理より

円周角と弧の関係

  • 等しい円周角に対する弧の長さは等しい
  • 長さの等しい弧に対する円周角は等しい

円の内部と外部の点

3点A、Q、Bは円の周上にあるとする。

点Pが直線ABに関してQと同じ側にある時

  • 点Pは円の内部にある⇒∠APB>∠AQB
  • 点Pは円の周上にある⇒∠APB=∠AQB
  • 点Pは円の外部にある⇒∠APB<∠AQB

また逆も成り立つ。

証明

点Pは円の内部

直線APと円の交点をP'とおく。

円周角の定理より∠AQB=∠AP'B

∠APBは△P'BPの外角なので、

∠APB=∠AP'B+∠P'BP

∠APBは∠P'BPだけ∠AP'Bより大きい。

よって∠APB>∠AP'B=∠AQB

点Pは円の周上

円周角の定理より明らか。

点Pは円の外部

こちらの記事で解説します。

逆側の証明

反対方向の証明は背理法より明らか。

すなわち∠APB>∠AQBであって、
点Pが円の内部に無いとする。

この時Pは円周上または円の外部にあるので

∠APB=∠AQBまたは∠APB<∠AQB

これは∠APB>∠AQBに矛盾する。

残りの二つの証明も同様。\(\square\)

円周角の定理の逆

2点P、Qが直線ABについて同じ側にあり
∠APB=∠AQBなら4点A、B、P、Qは一つの円周上にある。

が示された。

円に内接する図形

多角形のすべての頂点が一つの円周上にある時、

この多角形は円に

”内接する”という。

また、その円を多角形の

”外接円”という。

円に内接する四角形

特に四角形の場合、
内角αと向かい合う内角βを

内角αの

”対角”といい

次が成り立つ。

定理1

四角形が円に内接する時

  • 対角の和は180°
  • 外角は隣り合う内角の対角に等しい

証明

内角αとβは向かい合っているとする。

円周角の定理より、

弧BCDに対する中心角は2α
弧BADに対する中心角は2β

一周は360°なので2α+2β=360

対角の和はα+β=180

またα=180-βでもある。

180-βは∠BCDの外角に等しい。\(\square\)

また逆も成り立つ。

証明

外角が隣り合う内角の対角に等しいなら
対角の和は180°、

四角形ABCDにおいて
∠ABC+∠ADC=180とする。

△ABCの外接円を書き

線分ACについて
点Dと同じ側にある周上に点Eをとる。

四角形ABCEは円に内接するので
∠ABC+∠AEC=180

先の式と見比べて
∠ADC=∠AEC

円周角の定理の逆より点Dも外接円上にある。\(\square\)

定理2

図の様に△ABCの頂点Aから垂線AGを降ろし
垂線上の点Pから辺AB、ACに垂線を降ろす。

この時、四角形BCEFは円に内接する。

証明

∠AFP+∠AEP=90+90=180なので、
四角形AFPEは円に内接する。

円周角の定理より∠FAP=∠FEP

直角三角形BAGに注目すると

180=∠ABG+∠FAP+90

=∠ABG+(∠FEP+90)=∠FBG+∠FEC

対角の和が180になったので
四角形BCEFは円に内接する。\(\square\)

トレミーの定理

円に内接する四角形において次の等式が成り立つ。

$$ \mathrm{AB} \cdot \mathrm{CD} + \mathrm{AD} \cdot \mathrm{BC} = \mathrm{AC} \cdot \mathrm{BD} \hspace{20cm}$$

証明

BD上に∠BAE=∠DACとなる様に点Eをとる。

円周角の定理より∠ABE=∠ACDなので、
△ABEと△ACDは相似

$$ \mathrm{AB} : \mathrm{AC} = \mathrm{BE} : \mathrm{CD} \hspace{20cm} $$

よって

$$ \mathrm{AC} \cdot \mathrm{BE} = \mathrm{AB} \cdot \mathrm{CD} \hspace{20cm}$$

また△ABCと△AEDも相似になっている、

$$ \mathrm{AC} : \mathrm{AD} = \mathrm{BC} : \mathrm{ED} \hspace{20cm}$$

から

$$ \mathrm{AD} \cdot \mathrm{BC} = \mathrm{AC} \cdot \mathrm{ED} \hspace{20cm}$$

が言える。

上の二つの式を用いて

$$ \mathrm{AB} \cdot \mathrm{CD} + \mathrm{AD} \cdot \mathrm{BC} = \mathrm{AC} \cdot \mathrm{BE} +\mathrm{AC} \cdot \mathrm{ED} = \mathrm{AC} \cdot \mathrm{BD} \quad \square \hspace{20cm}$$

シムソンの定理

△ABCの外接円上の点Pから
直線AB、BC、CAに垂線PD、PE、PFを降ろす。

この時3点D、E、Fは一直線上にある。

証明

△ABCの内角を∠A、∠B、∠Cと略記する。

∠BDP=∠BEP=90なので、

円周角の定理の逆から
4点B、P、E、Dは一つの円周上にある。

円周角は等しいので∠B=∠DPE

また∠PEC+∠PFC=90+90=180より、

四角形PFCEは円に内接する。

外角は隣り合う内角の対角に等しいので
∠C=∠EPF

∠B+∠C=∠DPE+∠EPF=∠DPF

△PFDに注目すると∠A=∠PDE+∠PFE

円周角は等しいので∠PDE=∠PBE
となり、∠A=∠PBE+∠PFE

補題

ここで∠PBD=∠PEFになっている。

なぜなら、

∠PBD=∠B+∠PBE

∠PEF=180-∠EPF-∠PFE=180-∠C-∠PFE

より

∠PEF-∠PBD=180-∠C-∠B-(∠PFE+∠PBE)=180-∠C-∠B-∠A=0

だからである。

最後に対角の和は180なので
∠PED=180-∠PBD

折れ線DEFは点Eにおいて、

∠PED+∠PEF=180-∠PBD+∠PEF=180

を満たす。

3点D、E、Fは直線上に並んでいる。\(\square\)

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