大学は早稲田、大学院は京都大学で数学者を目指した
私の経験を基に数学者までの道のりを解説します。
数学者を仕事、夢に見てる学生の方に
なり方(と厳しい現実)を示せたらと思います。
残念ながら私は修士卒業で力尽きたので、
博士後期課程からの文章は先生および
大学で集めた情報を基に書きました。
数学者までの道のり
数学者になるには
次のステップを順にこなす必要があります。
- 大学の学部生
- 大学院の修士課程(博士前期課程)
- 大学院の博士後期課程
- ポスドク(または日本学術振興会)
- 大学に就職(数学者になる)
大学
学部生
数学者への第一歩、主に
数学科または応用数学科で4年間勉強します。
大学数学の基礎を習い院試に備えます。
実は数学科、応用数学科
の卒業は必須条件ではなく
物理、情報系の学科で数学を学び、
院から数学者を目指すことも可能です。
学部生→修士課程
大学院の入学試験(院試)を受けます。
院受験は大学受験に比べると簡単です。
なぜなら、
高校3年間に対して大学は4年間
受験勉強の仕方も
高校生の時に身に付いているため
余裕を持って準備できるからです。
とは言え、油断していると
落ちるくらいには難しいです。
大学院
修士課程
指導教官の人に見てもらいながら
自分の専門分野の勉強をします。
学術書を輪講したり、
論文を読み漁りながら
修士論文の形に
今までの成果をまとめることを目標とします。
数学基礎試験
京都大学では修士に進学したら初めに
数学基礎試験という学力審査を受けます。
この試験の成績の良い人順に
指導教官の研究室を選べます。
研究室にも定員があるので、
試験の結果が悪いと
希望の先生に見てもらえなくなります。
修士課程→博士後期課程
京都大学の、
博士後期課程に進学するための条件は
”今まで無かった新しい定理を一つ見付ける”
です。
一つだけで良いので簡単に見えますが
実際は鬼の難易度です。
過去の数学者が
目ぼしい定理を研究し尽くした後だからです。
この条件は以前なら
博士後期課程の卒業で課されていたそうです。
博士後期課程
博士論文を仕上げることが目標。
単位取得のための講義は、ほぼなくなり
大部分の時間は専門分野の研究になります。
日本学術振興会の審査に通ると
月額20万円の援助を受けれるので、
学費を気にせず勉強できます。
京都大学の博士後期課程まで来れてる人は
大体、この審査をくぐるそうです。
博士後期課程→ポスドク(日本学術振興会)
数学者のポスドクの受け入れ口は
あまり空きがなく困難な状況です。
博士論文の質の高さに加えて
指導教官の人に斡旋してもらえるか、
運も関係して来ます。
もしくは、
日本学術振興会の審査に合格して
3年間、月額36万2千円をもらいながら
研究を続ける道もあります。
こちらも採用率は厳しいです。
社会人
ポスドク
大学等の学術機関に1~3年ほどの
期限付きで雇われ研究に取り組む仕事。
お給料をもらいながら
数学をできる身分なので数学者の仲間入りです。
時間が来れば無職の不安定な時期でもあります。
ポスドク、日本学術振興会→大学、企業など(数学者)
ポスドクから数学者への就職も大変です。
採用されるかは今までの研究の
実績次第ですが、この基準が曖昧です。
頑張っていても大学側が不採用と言って来たら
いつまでもポスドクから抜け出せません。
ポスドクの就職の厳しさは文部科学省の
ポストドクター等の雇用・進路に関する調査が参考になります。
それによると、
数学のポスドクの平均年齢は33.9歳(2018年度調査)
就職できるのも全体の1、2割。
多くの人が職に就けず
数学の研究をしている内に年を取ってしまいます。
まとめ
私が数学者を目指してみて一番感じたのは
日本の数学者の需要は落ちている、でした。
(2017年くらいの話です)
需要が無ければ評価基準は厳しくなって
私みたいに修士の段階で早々と
篩にかけられるのが自然です。
教授職に就かれている人達が引退して
受け入れ口に余裕ができたら
もう少し変わるのかな、と思いました。
↓それでも数学者を目指したい人のための記事です。