すべての人に最低限生活できるお金を支給する制度、
ベーシックインカム。
私みたいなフリーランスにとっては救いなので
早く導入して欲しいところですが
日本ではまだ遠い未来の話。
一方、外国オーストラリアでは
コロナ禍でベーシックインカム状態になり
結果、国民の意識は賛成に大きく偏ったそうです。
この記事ではオーストラリアがどれくらい
ベーシックインカムに近付けたかの情報をまとめつつ考察します。
*情報はオーストラリアのニュースサイト
ABC NEWSなどから集めました。
概要
オーストラリアはコロナ禍において
国民に最低限の生活費を支給する政策を採りました。
これはベーシックインカムが
国に及ぼす効果を見る良い実験にもなりました。
政策開始から1年後の調査によると
77%の人はベーシックインカム導入に賛成。
労働力はおそらく低下するものの
趣味、友達や家族との時間、新しい仕事への挑戦
本当に望むことを人々がし始めることがわかりました。
国民の意識は賛成に固まり
幸せな社会になることもわかったので、
あとは導入するだけですが問題は、やはり財源の確保。
莫大な費用がかかるので結局
導入には踏み出せず立ち止まる結果になりました。
以下では具体的にオーストラリアで起きたことを見て行きます。
コロナ禍でベーシックインカム
コロナ禍のオーストラリアの人達は、
2週間ごとに下の表の金額を働かずに受け取っていました。
働いていた(月に80時間以上) | 働いていた(短時間) | 働いていない | |
2020年3月~2020年9月 | 1500ドル | 1500ドル | 1115ドル |
2020年9月~2021年1月 | 1200ドル | 750ドル | 815ドル |
2021年1月~2021年3月 | 1000ドル | 650ドル | 715ドル |
もらえる額は、コロナ禍の前に
- 働いていた(月に80時間以上)
- パートなどで短時間だけ働いていた
- 働いていなかった
の3段階で分けられました。
1オーストラリアドル=90円で計算すると1500ドルは13万5千円、
”働かずに月収27万円”、という夢の状況でした。
働いていなかった人も求職活動をしてたり、
病気や怪我で就労が難しい等の条件を満たすなら
1115ドル≒10万円もらえます。
なので、月に20万円もらえるベーシックインカムが実現してました。
これがコロナ禍始まりの2020年3月~2020年9月のこと。
半年経過して2020年9月~2021年1月、
さらに4か月経って2021年1月~2021年3月と金額は下がって行き
1年間でオーストラリアのベーシックインカムは終了しました。
(補足)
途中で働いていない人のもらえる金額が
パートで働いている人より多くなっていますが
これには、働いていない(職を求めている)人は
より救助を要すると見做される背景があるようです。
国民の意識調査(データ)
ベーシックインカムに対する国民の意識調査は、
今まで3回行われました。
それぞれAuSSA、YouGov、Anglicareという調査団体が主催し
- ベーシックインカムに賛成か(反対か)
- もし実現したら生活にどう影響するか
を聞きました。
結果は、コロナ禍を経て賛成の人が大多数になっていました。
参考:ABC NEWS「A majority of Australians would...」
詳しく調査結果を見て行きます。
AuSSA(コロナ前)
コロナ禍の前に行われた調査。
ベーシックインカムの導入に賛成の人は43~45%
この時点では50%以下なので、
もし国会の多数決になったら否決されます。
約1/3の人は、もし導入されたとしても
「これまでの生活を続ける」と答えたそうです。
急に人生を変えるのは難しいですものね。
空いた時間の使い道は人によって
- 友達や家族と過ごす
- ボランティア活動
- 運動
- 芸術等の創作活動
と多岐にわたります。
働く人は残りつつも
本当に望んでることに取り組める社会になりそうです。
YouGov(2020年10月)
コロナ禍が始まってから半年経った頃の調査。
結果は賛成58%、反対18%(残りは中立)
賛成が過半数になりました。
やはりコロナはベーシックインカムへの考え方に影響してそうです。
Anglicare(2021年5月)
コロナ禍が始まってから1年経った頃の調査。
結果は賛成77%、反対7%
賛成が大多数を占める様になりました。
投票が行われれば確実に採用される状況です。
約1/4の人は、もし導入されたとしても
「これまでの生活を続ける」と答えました。
コロナ前に比べ減っているので、
導入後の生活を具体的に思い描く人が増えた、と推測できます。
意外だったのは38%の人が
「出費を減らして、より貯金する」と答えたことで
例え生活費が保障されても、
貯金して安心したい人間の心理が働くみたいです。
- ボランティアをする
- 友達や家族の世話をする
- 趣味、スポーツに励む
- 募金する
と答えた人が各20%ほど。
時間とお金に余裕ができた分、
自分や回りのための行動が増えるようです。
- 勉強の量を増やす
- ビジネスアイデアを追求する
- 転職する
- 家事を担当する
と答えた人が各1、2割。
今まで出来なかった働き方に
チャレンジする積極的な人もいます。
一方で「働く時間を減らす」と答えた人は12%
国全体で労働力の低下は起きると思いますが、
本当にしたいことを出来る社会になり
人によっては労働力の向上も期待できます。
↓調査結果の詳細はリンク先のページでダウンロードできます。
Anglicare「Australia Fair series – Valuing Every Contribution」
現在の動向
ベーシックインカム導入にかかる
財源の確保が困難で立ち止まっています。
賛成多数でもお金がないと実行できません。
実現する可能性は未だ見えませんが、
国民の意識が賛成に固まった点で現実味を帯びて来たと言えます。
まとめ
コロナ禍で期間限定のベーシックインカムを経験した
オーストラリアでは国民の意識が賛成に大きく偏りました。
また調査によると、もし導入されれば生まれた余裕を
人々は本当に望むことに充てられ理想の社会に近付きます。
しかし財源が確保できず結局立ち止まっています。
今後AI、ロボット工学の発展により
費用の問題が解決することに期待します。