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ASMRはマイクの音量を
極端に上げて録られるため、
ノイズに悩まされることが多いです。
この記事では
近所の音など、外部から来るノイズ及び
機材の持つ内部からのノイズの対策方法。
それでも消し切れないノイズとの付き合い方。
最終手段として、
ノイズ除去ソフトの利用について解説します。
ASMRの防音対策
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ノイズを避けるため、ASMR収録は
夜中にエアコンを切って
行います。
みんなの寝静まった夜中が、
ASMR配信者さんの活動時間となります。
また、エアコンの風の音も意外と大きく聞こえます。
あらかじめ部屋を暖め(冷やし)ておいて、
収録前にはエアコンを止め
毛布、ストーブ、冷却グッズ、
静かに体温調節できる物で代用します。
PCのファン
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PCのファンの回転音もノイズです。
対策としては、
マイクからPC本体はなるべく遠ざけ
もっと言うと、ドアや壁を隔てられると良いです。
PC以外で録る
アイフォン、アイパッドに対応している
機材もあるので、これらを利用すると静かです。
サウンドハウス:iPhone/iPad用オーディオインターフェイス一覧
TASCAMの多くの機種は対応してます。
ただしスペックで劣るため、
音声のみの収録などが主になりそうです。
防音室とASMR
スタジオは部屋全体が大きな防音室になっていて、
静かな環境で収録できます。
暗騒音と呼ばれるノイズも減らせるので、
音の通りが良くなる効果もあります。
家庭用の小型の防音室も売られていて、
有名な配信者さんは割と持っています。
ただし、防音室にはデメリットも多いです。
- お高い(40万円~)
- 密閉空間なのでサウナ状態
- 部屋のスペースを取る
小型の防音室は空気がこもるため、
長時間の使用で
- 熱中症
- シックハウス症候群
等になり得ます。
体に負担のかかるアイテムなので注意。
押し入れで疑似体験?
防音室とよく似ているのは押し入れです。
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布団もあれば吸音材の代わりになります。
押し入れの中は戸を閉めると、
確かに静かなのですが
密閉空間ゆえの
息苦しさと暑さを感じると思います。
押し入れにこもってて大丈夫そうなら、
防音室を買うのも良いかもしれません。
夏はASMRには不向き…
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夏はASMR配信者さんにとって過酷な季節です。
エアコンを切ると部屋は暑くなり
熱さでPCのファンも回転が増し
防音室の中は、もっと暑いです。
個人的には夏の間はお休みでも良いと思います。
秋に向けて準備しつつ、
ゲーム配信などで過ごしたり
あるいは、エアコンありのASMRも良いと思います。
ホワイトノイズ
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ここまで書いてきた、
外部からのノイズは防音室で防げるのですが
機材の持つ、言わば内部からのノイズまでは防げません。
機材の音量を上げると聞こえて来る
サー、というノイズ
はホワイトノイズと呼ばれ、
設計上どうしても不可避のノイズです。
高品質な機材を揃えることで改善はされます。
オーディオインターフェイス
マイクの音をPCへ取り込むための
オーディオインターフェイス
もホワイトノイズに影響します。
特に搭載されているマイクプリアンプの性能が大事。
- 中価格帯ではMOTU M2
- 高価格帯ではBabyface Pro FS
が優秀とされています。
S/N比
ホワイトノイズの量はS/N比と
呼ばれる値を目安に調べられます。
S/N比の大きな機材ほど、
ホワイトノイズは小さくなる傾向にあります。
有名なマイクのS/N比を表にまとめてみると
マイク | S/N比(dB) |
---|---|
SR3D | 80 |
白3Dio | 80 |
Headrec Binal 2 | 80 |
黒3Dio | 71 |
KU100 | 78 |
80dBが標準値です。
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白3Dioの上位互換の黒3Dioが、
ノイズ面で劣るのは意外ですね。
KU100も若干ノイズ多めなのですが、
音質、マイク感度の良さで凌駕します。
消し切れないノイズはどうするの?
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ホワイトノイズを含め、
ノイズ対策をしても消し切れないノイズはあります。
その際は、例えば
BGM
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薄くBGMをかけてノイズを誤魔化します。
無音の状態に比べると、だいぶ目立たなくなり
雰囲気に合った曲を選べれば配信の質も上がります。
自然の環境音では雨や焚火など、よく利用されます。
マイクの音量
ASMR収録では
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マイクの音量どうする?
という問題があります。
マイクの音量を決めた後、
力加減でトリガーの出音を調節してASMRは収録されます。
そもそも
マイクの音量を極端に上げるから
ノイズが気になるのです。
でも、一方で
ゾクゾクする音を求めて、マイクの音量を上げている
という話もあります。
つまり、
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マイクの音量を上げる
ノイズは増えるけど、
ゾクゾクする音を録りやすくなる。
という関係になっています。
どれだけノイズを許容して、
欲しい音を手に入れるかのバランス感覚で
マイクの音量を決めるのが最善みたいです。
マイクの音量をとことん下げる収録方法
マイクの音量を下げると、
すべてのノイズが減って行き
それこそノイズなしのASMR配信もできます。
ただし、段々とASMRらしさが失われ、
ただのバイノーラル音声になって来ます。
- シャンプー
- メイクブラシ
- タオルマッサージ
など出音の大きいトリガーなら、この方法で上手く行くようです。
炭酸水のような出音の小さな物ほど、
この方法では厳しくなります。
「ノイズを受け入れる」という考え方
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ここまでのノイズ対策をしていれば
相当ノイズは小さくなっているはずなので、
最後は受け入れてしまうのが良いと思います。
ホワイトノイズやPCのファンも、
考え方によっては心地よい自然音です。
ホワイトノイズは波の音に似てます。
ノイズをBGMにする感覚で受け入れて、
マイクの音量を上げる方法をお勧めします。
ノイズ除去ソフト
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マイクの音量は大きいのにノイズなし
という本来なら両立しないことを
実現してくれるのがノイズ除去ソフトです。
(ノイズを解析して、音声データから直接ノイズを削除します)
とても便利そうですが、
完全にノイズだけを識別することは難しく
勢いあまって肝心のASMRの音も消されてしまいます…。
音質と引き換えに音のクリアさを手に入れるソフト
というのが正しい認識です。
デメリット
ノイズ除去ソフトを使うと、
音の輪郭がぼやけて物足りない感じになります。
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私的には、それが寂しいです…
また、失われた音の成分は2度と帰って来ません。
- イコライザー
- コンプレッサー
を用いた音作りにおいても
ない物を増幅することは不可能なので、
調整の幅が狭まります。
ソフトの品質
ノイズ除去する際は高品質のソフトを使いましょう。
低品質だと、音が飛び飛びになる等の不具合を生じます。
メリット
音質の変化
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音の輪郭がぼやけるのと同時に、
水の中に居るみたいな音質になります。
この特徴は
- ジェルボール
- バブルタイマー
のような水系のトリガーと相性がよく、
音質劣化はむしろプラスに働きます。
角のとれた丸みのある音になるため、
痛い音を予防する効果もあります。
完全な静寂
音声データを直接いじるので、
文字通り完全な静寂を作ることも可能です。
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睡眠導入には良さそう。
エフェクターとの相性
各種エフェクターを用いた音作りにおいて
ノイズにもエフェクトがかかってしまう
という悩みがあります。
これも、ノイズ除去ソフトは解決してくれます。
ノイズ除去ソフトの例
人気のソフトを2つ紹介します。
Audacity
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無料なことで人気の音声編集ソフト。
ノイズ除去も搭載していて、
若干の不自然さは有るものの綺麗にしてくれます。
仕様でフリーズしたりと、使いやすさに難あり。
iZotope RX
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スタジオでも利用される有料ノイズ除去ソフト。
現在手に入るソフトの中では優秀とされています。
Audacity vs iZotope
AudacityとiZotope RX 10で、
オイルマッサージの音声を処理してみました。
ホワイトノイズが聞こえるまで音量を上げてお聞きください。
iZotopeの方は繊細な高音が残っているのに対し、
Audacityでは消えてしまっています。
また、iZotopeは変化し続けるノイズにも使えます。
Audacityはホワイトノイズのような、
一定のノイズにのみ有効。
OBSで利用する
Live配信する場合、
OBS Studioで動いてくれるかは大事です。
OBSに始めから付いている
- ノイズゲート
- ノイズ抑制
はすぐ使えるので、
利用している人をよく見かけます。
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ただし、品質はあまり良くないみたいです…。
iZotope RX 10はVST3プラグイン形式なため、
そのままだとOBS上で動いてくれませんが
StudioRackという無料のプラグインの導入で、
VST2プラグイン同様に扱うことが出来ます。
(ちなみにAudacityはオフラインでのみ利用可)
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OBSでVST2プラグインのStudioRackを起動して
StudiorRackにiZotopeを読み込ませることで
間接的にOBSでiZotopeを使えるようになります。
StudioRackの導入方法については、
この方の記事が分かりやすいと思います。
公式サイトにも載ってます。
iZotopeの詳しい性能は、こちらの記事で読めます。
まとめ
ASMR収録の外部からのノイズ対策は
- 夜に窓を閉めて静かな部屋で録る
- エアコンはなるべく切る
- PCのファンは隔離する
です。
防音室は色々と大変なので、
本当に必要な人向けのアイテム。
ホワイトノイズは機材にお金をかけるのが唯一の対策。
ノイズ除去ソフトは音質と引き換えに、
音のクリアさを手に入れます。
個人的にはノイズによるマイナスより
処理前の音のプラスが勝るなら、
使わなくて良いと思います。
リスナーとしてはノイズが気にならなくなるまで
音量を下げ、心地よい音のみ聞く方法もあります。
許容できるノイズの量を見極めつつ、
トリガーの出音に応じたマイクの音量調節
BGM、ノイズ除去ソフト利用の検討で解決します。