算数

四捨五入のなぜ何すべてに答えます。
【五捨六入、五捨五超入、二捨三入・七捨八入

カラフルな0から9までの数字

多くの人が端数を処理しておよその数を求めるのに
(専門用語で丸める、と言います)四捨五入を使っています。

でも、なぜ四捨五入するか深く考えた人は少ないと思います。

この記事では四捨五入が丸め方として
優れている理由をJIS規格を参照しつつ説明します。

合わせて類語の五捨六入、五捨五超入、
5刻みの四捨五入である二捨三入・七捨八入まで

四捨五入の疑問すべてに答えたいと思います。

四捨五入になる理由(根拠)

四捨五入になる理由をJISC 日本産業標準調査会
JIS規格(JISZ8401)に沿って説明して行きます。

まずJIS規格では数値は近い方に丸めることを基本とします。

具体的には

0から1までの数直線(四捨五入)

「0.1、0.2、0.3、0.4」は1より0に近いので、丸めた数値は0
「0.6、0.7、0.8、0.9」は0より1に近いので、丸めた数値は1

にしましょう、ということです。

一、二、三、四、は「捨」
六、七、八、九、は「入」な理由です。

近い方に丸めるのは至って納得のいくやり方です。

問題は五をどうするか、です。

0.5は0と1から同じ距離にいます。

これには唯一の正解はなく
状況にあった丸め方を選ぶことになります。

JIS規格では規則Aと規則B、二つの丸め方を示していて
このうち規則Bが四捨五入に相当します。

規則A

五については偶数に丸めます。

0は偶数1は奇数なので、
この場合0.5は丸めると0になります。

(他にも例えば1.5を丸めると2です)

この丸め方には、丸めによる誤差を最小にする
という利点があるので一般に推奨されています。

四捨五入とは無関係なので、この記事では深入りしません。

規則B

五については大きい方に丸めます。

1は0より大きいので
この場合0.5は丸めると1です。

これは五を必ず「入」とする丸め方なので
四捨五入に相当します。

この丸め方には0.52、0.57など
0.5と0.6の間の数を丸めるのに便利という利点があります。

0から1までの数直線で小数点第二位以下の四捨五入での取り扱いを説明

小数点第一位で丸めるときに
0.52と0.57は0より1に近いので、1に丸められるべきです。

五を「入」としておけば自動的に1に丸められます。

補足

大人であれば小数点第二位以下を見たり
データの特性、課題に応じたより適切な端数処理が可能です。

しかし小学校で教えることを考えると
扱いが容易な四捨五入が適していたと思われます。

実際、四捨五入には丸めた値が大きい方に偏る不便さもあります。

負の数の四捨五入

負の数を四捨五入したい時は絶対値に適用します。

例えば-0.7の四捨五入は、

絶対値の0.7を四捨五入して1とした後
マイナスを付け直して-1です。

四捨五入は海外でも通用する

四捨五入は漢字で書かれていて、
日本だけのイメージですが英語圏でも使われます。

参考:Math is Fun「Rounding Numbers」

*JISZ8401も国際規格である、
 ISO 80000-1を参考に作られています。

色々な丸め方

四捨五入以外の丸め方も考えられています。

五捨六入

五を常に「入」する四捨五入に対して
五を常に「捨」する丸め方が五捨六入です。

例えば麻雀の得点精算では五捨六入が用いられます。

参考:麻雀Q&A第4回「何故四捨五入ではなく五捨六入なのか」

0から1000までの数直線(五捨六入)

麻雀では100点棒が最小単位なので、
500点と600点の間の点数は存在しません。

トップを取った人のことを考えて
五の切り捨てが主流になったそうです。

500点までは0点=0pt
600点からは1000点=1ptとされます。

五捨五超入

五を「捨」しつつ、
五と六の間の数も適切に丸められるのが五捨五超入です。

0から1までの数直線(五捨五超入)

ちょうど五の時は「捨」して、
0.51、0.501、など少しでも五を超えたら「入」します。

(0.5を除いて四捨五入と同じ丸め方です)

五捨五超入は薬剤料の点数計算で使われています。

参考:厚生労働省「平成20年厚生労働省告示第59号」
診療報酬の算定方法 別表第3(調剤点数表)区分20 使用薬剤料

お薬の代金が四捨五入で丸めるより安くなり得るので、
五捨五超入が採用されているのは有難いです。

二捨三入・七捨八入

四捨五入より一段階細かい丸め方が二捨三入・七捨八入です。

0から1までの数直線(二捨三入・七捨八入)

これは扱いの難しい五を
丸め先の一つにする方法で、具体的には

一、二、は「捨」されるので、0.1、0.2、は丸めると0
三、四、は「入」されるので、0.3、0.4、は丸めると0.5
六、七、は「捨」されるので、0.6、0.7、は丸めると0.5
八、九、は「入」されるので、0.8、0.9、は丸めると1

です。

一、二、は0に近くて、三、四、は0.5に近い、という風に
すべての数字の丸め先がはっきりしている点で優れています。

例えば靴のサイズは、24.0、24.5、25.0、25.5、26.0、
の様に5刻みで増えて行くので

足の長さを測って二捨三入・七捨八入すると
自分の大きさに近い靴のサイズを把握できます。

まとめ

数値の丸め方に唯一の正解はなく
状況、目的に合ったものを選びます。

中でもJIS規格は
数値を近い方に丸めることを基本としています。

その際、
真ん中の位置にある五を常に切り上げる方法が四捨五入です。

(五の扱いを変えた五捨六入、五捨五超入もあります)

四捨五入が好まれて使われる理由は
丸める位だけを見れば良い簡便さで、

小学生にも理解されやすいです。

四捨五入はたくさんある丸め方の選択肢の
一つに過ぎないのです。

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