デシリットルを小学校の算数で学ぶことに
不思議さを覚える人は多いと思います。
文部科学省の監修のもと
初等教育は行われているので、
何かしら理由はあるはずです。
この記事では、学習指導要領を参照しつつ
デシリットルを勉強する必要性を説明します。
理由は国際単位系への導入
デシリットルを小学校で教えるのは、
国際単位系への導入が目的です。
国際単位系(SI単位)とは
国際単位系は簡単に言うと、
(単位)=(大きさの具合)+(単位の種類)
の仕組みのことです。
具体的には、
(cm)=センチ(c)+メートル(m)
や
(kg)=キロ(k)+グラム(g)
などです。
cm、kgは国際単位系として見ると、
- 長さ1メートルにセンチを付けて1/100に縮めた単位
- 重さ1グラムにキロを付けて1000倍に大きくした単位
となります。
センチ、キロは接頭語と呼ばれ
どのくらい大きさを変えるか決まっています。(下図参照)
ミリ(m) | センチ(c) | デシ(d) | デカ(da) | ヘクト(h) | キロ(k) | |
1/1000 | 1/100 | 1/10 | 1 | 10倍 | 100倍 | 1000倍 |
私たちの身の回りには様々な大きさの物があるので
接頭語を付けてちょうどよい単位を作れる
国際単位系は優秀です。
なので有名なミリ、センチ、キロに加えて
デシ(ヘクト、デカについては後述)
にも習う意味があります。
特に理系に進む人は
実験で国際単位のお世話になるので
小学生の内から勉強しておくと
スムーズに馴染むことができます。
学習指導要領の記述
小学校の授業の内容は、
文部科学省の学習指導要領に従います。
学習指導要領とは
学習指導要領は先生のための教科書です。
各学校には色々な先生がいるので
何も決めずに授業をすると、
みんなバラバラのことを教えてしまいます。
そこで、
教育を司る政府機関の文部科学省が、
先生のために授業の内容・方針を
定めた物が学習指導要領となります。
国際単位系とデシ(デジ)についても書かれています。
特に3行目の、
これは、それぞれの量の単位の指導において
出典:小学校学習指導要領(平成29年告示)解説、算数編、60ページ目
単位の関係を取り扱うことで、同じような仕組みに基づいて
単位が構成されていることに徐々に気付き、
単位間の関係を統合して捉えることができるからである。
に加えて
(前略)
(ア)長さの単位
(ミリメートル (mm),センチメートル (cm),メートル (m))
及びかさの単位
(ミリリットル (mL),デシリットル (dL),リットル (L))
について知り、測定の意味を理解すること。(イ)長さ及びかさについて、およその見当を付け、
出典:文部科学省、学習指導要領、算数、第2学年
単位を適切に選択して測定すること。
を組み合わせて考えると、
ミリリットル、リットルと一緒にデシリットルも扱うことで
生徒に国際単位系の仕組みに気付いてもらう意図を読み取れます。
ヘクト(h)について
接頭語の表にはデシの他に
もう二つ、ヘクトとデカがあります。
ヘクトについてはヘクタールで勉強します。
(ヘクタール=ヘクト+アール)
また中学校の理科では
ヘクトパスカルの形で登場します。
デカ(da)は出て来ない
デカだけは高校生になっても一度も出て来ません。
デカは極めて使われることが稀な接頭語なので、
教育に組み込むのは難しかったのだと思われます。
デシベル
騒音の測定に利用されるデシベルも
音量を表す単位ベルにデシを付けて作られます。
まとめ
学習指導要領を読んだ限り、
デシリットルを小学校で教える理由は
頭に付いてるデシから
国際単位系の仕組みを感じ取り
若いうちから慣れてもらうこと、
と考えて良さそうです。
理系に進んだ私にとって
勉強することの多い大学生活の前に
予備知識の導入が済んでいて助かりました。
教育には意味があるのですね。