数学 解析学

【大学数学】実数乗の指数法則の証明
【微分積分】

(実数乗の)指数法則の証明、と書かれた黒板

高校数学で習う指数法則は有理数乗までで、

実数乗において成り立っているかは
厳密な説明を避けています。

この記事では、実数の無理数乗の定義から始めて

指数法則が実数乗の場合も含め
成り立つことを証明します。

無理数乗の定義

xを無理数とする時、実数a>1のx乗を次で定義します。

$$a^x \stackrel{\mathrm{def}}{=} \lim_{n \to \infty} a^{q_n} \hspace{20cm}$$ここで{qn}は$$\lim_{n \to \infty} q_n = x ,\quad q_n < x \quad q_n \in \mathbb{Q} \quad (\forall n \in \mathbb{N}) \hspace{20cm}$$を満たす任意の単調増加数列である。

\( \{a^{q_n} \} \)は上に有界な単調増加数列なので収束します。

また収束先は
条件を満たす任意の{qn}で一致するので
(証明は省きます)

一意にaxを定義できています。

0<a<1の時は次の様にします。

$$a^x \stackrel{\mathrm{def}}{=} \left( \frac{1}{a} \right)^{-x} \hspace{20cm}$$

(1/a)>1が先の定義を流用できる理由です。

以上により指数関数axは実数上で定まり、
連続です。(証明略)

実数乗の指数法則

指数法則とは次の3つの等式のことです。

$$a^{x+y} = a^x a^y, \quad (ab)^x = a^x b^x, \quad (a^x)^y = a^{xy} \hspace{20cm}$$

xとyが有理数の時の指数法則は明らかなので、
実数に拡張することを目標にします。

以下の証明では数列{xn}、{yn}は実数x、yに対して

$$\lim_{n \to \infty} x_n = x ,\quad x_n \in \mathbb{Q} \quad (\forall n \in \mathbb{N}) \hspace{20cm}$$ $$\lim_{n \to \infty} y_n = y, \quad y_n \in \mathbb{Q} \quad (\forall n \in \mathbb{N}) \hspace{20cm}$$

を満たすとし、

2つの収束列の和差積商について
極限操作は分配可能な事実を使います。

\(a^{x+y} = a^x a^y\)の証明

\(a^{x_n+y_n} = a^{x_n} a^{y_n}\)

は認める。

\( \lim_{n \to \infty} (x_n+y_n) = \lim_{n \to \infty} x_n + \lim_{n \to \infty} y_n = x + y\)

なので、指数関数は連続より

\( \lim_{n \to \infty} a^{x_n+y_n} = a^{x+y}\)

である。一方で、

\( \lim_{n \to \infty} a^{x_n} a^{y_n} = \lim_{n \to \infty} a^{x_n} \lim_{n \to \infty} a^{y_n} = a^x a^y\)

以上より示された。\(\square\)

\( (ab)^x = a^x b^x \)の証明

\( (ab)^{x_n} = a^{x_n} b^{x_n} \)

は認める。

指数関数は連続より、

\( \lim_{n \to \infty} (ab)^{x_n} = (ab)^x \)

また

\( \lim_{n \to \infty} a^{x_n} b^{x_n} = \lim_{n \to \infty} a^{x_n} \lim_{n \to \infty} b^{x_n} = a^x b^x \)

なので示される。\(\square\)

\( (a^x)^y = a^{xy} \)の証明

\( (a^{x_n})^{y_n} = a^{x_n y_n} \)

は認める。

\( \lim_{n \to \infty} (x_n y_n) = \lim_{n \to \infty} x_n \lim_{n \to \infty} y_n = xy \)

なので、指数関数は連続より

\( \lim_{n \to \infty} a^{x_n y_n} = a^{xy} \)

一方

$$ \lim_{n \to \infty} a^{x_n} = a^x \hspace{20cm}$$関数列$$ \{ f_n(t)\} \stackrel{\mathbb{def}}{=} \{ t^{y_n} \} \hspace{20cm}$$はaxの近傍上でtyに一様収束。f(t)=tyは点axで連続。

であり、この時

\( \lim_{n \to \infty} (a^{x_n})^{y_n} = (a^x)^y \)

を言える。

以上、実数についての指数法則が示された。\(\square\)

↓最後の等式を示すのに使った定理の証明はこちらです。

参考書籍

無理数乗の定義ならびに証明を略した部分は
こちらの本に載っています。

-数学, 解析学