大学数学

無理数乗の定義と
指数関数の単調増加、連続性の証明

この記事では大学数学の無理数乗の定義を説明します。

合わせて、無理数乗により指数関数が作られ

単調増加かつ連続な事を
証明してくれているサイト様を紹介し、

最後に高校数学の無理数乗の定義に
落ち着く所まで書きたいと思います。

実数の連続性公理、指数法則、ε-δ論法

無理数乗の定義

a>1の場合

実数a>1について無理数x乗を

無理数乗の定義(a>1)

\( a^x := \sup \{ a^r \, | \, r \in \mathbb{Q}, \quad r <x \} \)

で定義します。

上限の存在

a>1の時、有理数r、sについて

\( r < s \Leftrightarrow a^r < a^s \)

なのでsをxより大きくとればas

\( \{ a^r \, | \, r \in \mathbb{Q}, \quad r <x \} \)

の上界、定義式の右辺の上限が存在します。
実数の連続性公理

指数関数の性質

この定義により指数関数ax(a>1)は
実数の上で単調増加かつ連続になります。

証明はSTCO LIBRARY様のpdfファイルを参照ください。

PDFを開く

数列による書き換え

先の定義を数列で書き直した物もあります。

無理数乗の定義(数列)

\( a^x := \lim_{n \to \infty} a^{r_n} \)

ここで{rn}は

\( \lim_{n \to \infty} r_n = x, \quad r_n <x \)

を満たす単調増加な有理数列。

0<a<1の場合

0<a<1の時の無理数x乗は

無理数乗の定義(0<a<1)

$$ a^x := \left( \frac{1}{a} \right)^{-x} \hspace{20cm}$$

の様に定義します。

ポイント

$$ \frac{1}{a} >1 \quad (0<a<1) \hspace{20cm} $$

より右辺の値は定まっています。

有理数xについても(有理数乗の)指数法則から

$$ a^x = (a^{-1})^{-x} = \left( \frac{1}{a} \right)^{-x} \hspace{20cm}$$

が成り立っているので、
実数全体を通して指数関数ax(0<a<1)を

$$ y = \left( \frac{1}{a} \right)^{-x} \hspace{20cm}$$

と書けます。

(1/a)xは単調増加な連続関数だったので
(1/a)-xは単調減少する連続関数です。

高校数学の定義

以上の定義は指数関数を連続にします。

よって高校数学で習った定義が正当化されます。

実数a>0について

無理数乗の定義(高校数学)

\( a^x := \lim_{n \to \infty} a^{r_n} \)

ここで{rn}は

\( \lim_{n \to \infty} r_n = x \)

を満たす任意の有理数列。

負の数を除く理由は?

底から負の数を除くのは

\( (-1)^{1/2} = i \)

の様に、有理数乗の段階で
複素数が出て来てしまうからです。

実数の範囲で関数を作るため
条件a>0が付きます。

複素数の指数関数なら底を自由に選べます。

参考記事

計算のやり方

\( 2^\sqrt{2} \)

などの計算にはテイラー展開を用います。

参考記事

まとめ

高校の授業で無理数乗は
有理数乗の極限として導入されました。

この定義において曖昧な

極限は存在するか、
という疑問に実数の連続性公理

本当に指数関数を連続にするか、
にはε-δ論法

で答えを与えたのが
大学の無理数乗の定義です。

無理数乗の定義

-大学数学
-