高校数学で習う指数法則は有理数乗までで、
実数乗において成り立っているかは
厳密な説明を避けています。
この記事では、実数の無理数乗の定義から始めて
指数法則が実数乗の場合も含め
成り立つことを証明します。
連続関数の定義、収束列の線形性
実数乗の指数法則
実数a、b>0と実数x、yは次の3つの等式を満たします。
実数乗の指数法則
- \( a^x a^y = a^{x+y} \)
- \( (a^x)^y = a^{xy} \)
- \( (ab)^x = a^x b^x \)
無理数乗の定義
実数乗の指数法則を示すには、まず
無理数乗を正確に定義する必要があります。
これは有理数乗の上限として与えられ、
指数関数は連続になります。
証明
有理数列{xm}、{yn}は実数x、yに対して
\( \lim_{m \to \infty} x_m = x, \quad \lim_{n \to \infty} y_n = y \)
を満たすとする。
有理数乗の指数法則は既知とします。
\(a^{x+y} = a^x a^y\)
\(a^{x_m+y_n} = a^{x_m} a^{y_n} \quad (\forall m, n \in \mathbb{N})\)
である。
mについて両辺の極限は
\( \lim_{m \to \infty} (x_m+y_n) = \lim_{m \to \infty} x_m + \lim_{m \to \infty} y_n = x + y_n\)
と指数関数の連続性を用いて
\(\quad\, \lim_{m \to \infty} a^{x_m+y_n} = \lim_{m \to \infty} (a^{x_m} a^{y_n} ) \)
\( \Leftrightarrow \lim_{m \to \infty} a^{x_m+y_n} = \lim_{m \to \infty} a^{x_m} \lim_{m \to \infty} a^{y_n} \)
\( \Leftrightarrow a^{x+y_n} = a^{x} a^{y_n} \)
の様になる。
同様にnについて両辺の極限をとれば
\( a^{x+y} = a^x a^y \quad \square\)
\( (a^x)^y = a^{xy} \)
\( (a^{x_m})^{y_n} = a^{x_m y_n} \quad (\forall m, n \in \mathbb{N}) \)
である。
\( \lim_{m \to \infty} (x_m y_n) = \lim_{m \to \infty} x_m \lim_{m \to \infty} y_n =x y_n \)
指数関数の連続性より
\( \lim_{m \to \infty} a^{x_m} = a^x \)
加えて有理数乗のべき関数の連続性を用いる事で、
両辺のmについての極限は
\( \quad \, \lim_{m \to \infty} (a^{x_m})^{y_n} = \lim_{m \to \infty} a^{x_m y_n} \)
\( \Leftrightarrow (a^{x})^{y_n} = a^{x y_n} \)
の様になる。
同様にnについて両辺の極限をとれば
\( (a^{x})^{y} = a^{x y} \quad \square \)
\( (ab)^x = a^x b^x \)
\( (ab)^{x_m} = a^{x_m} b^{x_m} \quad (\forall m \in \mathbb{N}) \)
である。
両辺の極限は指数関数の連続性を用いて
\(\quad \, \lim_{m \to \infty} (ab)^{x_m} = \lim_{m \to \infty} (a^{x_m} b^{x_m} )\)
\(\Leftrightarrow \lim_{m \to \infty} (ab)^{x_m} = \lim_{m \to \infty} a^{x_m} \lim_{m \to \infty} b^{x_m} \)
\(\Leftrightarrow (ab)^{x} = a^{x} b^{x} \quad \square \)
まとめ
有理数乗の指数法則を基に
べき関数と指数関数の連続性で
実数乗の式を導く、という証明でした。
参考文献
べき関数、指数関数
指数法則の証明は軽くしか載っていません。